「ノイズ耐性」はどうなっていると言うべきか

  • 2006/12/08(金) 12:22:45

宮台氏は一方的にノイズ耐性の劣化の歴史として
学校化する日本の子供環境を見ているようだ。

しかし、私はその主張を、俄に受け入れられない。

ここに感受性とでも言うファクターを立ててみると、
一方的な流れではなく見えてくるかと思う。





彼の言う'60年代の団地化までは、狭い家に家族が犇めいており、
兄弟の存在というノイズを“無視”する能力を処世術として
獲得できたと言う。それが社会に進出するために不可欠な能力だと。

そして、'80年代から例えば「他人の前で裸になれない」ような
形でノイズ耐性がどんどん劣化し、ノイズ耐性を持たない子供が
増加していると。
「学校化」.
では、世紀末から出没している汚ギャルやチーマーと言う存在は
どう見るのだろう? 市街地で地べたに座り、電車内で化粧をする
そのよううな行動は、彼の言うノイズ耐性そのものではないか?!
そこにいる大多数の人間を意に介さないそのノイズ耐性は、
兄弟を無視するというようなレベルを遙かに凌駕している。



「他人の前で裸になれない」というような感覚は、ノイズ耐性の
劣化などではなく、感受性の強化だと言うべきではなかろうか
…と私は考える。

意味を持たないノイズだ…と、無視していれば良いようなものまでも、
意味を持った存在として内在化の対象として認知している。

強迫神経症の患者が、例えば映画館の座席の数を掌握しなければ、
不安で耐えられないような感じで。だからそれは、他人の存在が
ノイズになったと表現するのは不適切であり、むしろ恐怖である
と言った方が相応しいように考える。

そして、その恐怖の対象から精神を守るために、他人をノイズとして、
無視してかまわない存在へ、意味のないものへ、驚異を感じさせない
存在へと、読み替えてゆく。その課程の延長線上に、今の汚ギャルや
チーマーのような存在が跋扈する現状を迎えているのだろう。

ノイズ耐性と感受性


地域の成員を全て知っているような段階から、知らない人間が居ても
それを不安に思うことを禁じる段階へと近代化が進む過程で、宮台氏の
年代での子供社会では、家族を無意識下で掌握しえる存在にする…という
それまでの順当な成長から、“無視”するという処世術(裏技)へと移行
していった段階だ…と言うべきか。その後のイジメが「無視」であった事が、
その処世術の一般化だとして、きちんと重ね合わさっている。

それはノイズ耐性の“強化”などではなく、感受性の“劣化”だと
言った方が相応しいように私には思える。

ここでの感受性とは、多様な価値観に曝されている事に慣れること、
自分とは異なる立場への想像力であり、その意味で共感能力だと
言い変えても良い。その意味での感受性の欠如なのだから、多様性が
認め難くなるのも必然的であり、だからこそ、そこに過剰な同調圧力
が発生していったのだろう。
排除としてのイジメが、当初、学級委員のようなリーダー的立場から
教室を掌握する為のテクニックとして、彼らの中では「正義」として
萌芽して広まり、それが深刻化しただろうことも、想像に難くない。

ただ虚しく響くだけだった「個性尊重」のスローガンは、例えば、
単なる色違いを個性と読み替えたり、制服で学校を選ぶというような
動因しか認められ得なかった。



宮台氏の発言を聞いていると、ノイズを不快要素としてしか
捉えていないように感じられる。しかし、西欧人がノイズとしか
感じない風や木々のざわめき、虫の声、果ては街の雑踏までもを、
心地よいメロディーと感じる事の出来る感受性を、本来日本人は
持っている。
であっても、やはりそれは、重要な意味を持つ訳ではないが故に
やはりノイズに他ならないとも言える。TVの放送終了後の砂嵐を
聞いて心地よく眠る事の出来る人だって居るのだから…。

そのように私は、“ノイズ”を不快要素だと捉えていない。
自分を脅かす驚異の可能性でもなく、ノイズだと。
そのノイズには、良く聞けば全くの無意味ではない。
様々な価値ある情報の総体としてのノイズである。

だから、「他人をノイズだと感じる感受性」を否定する為に
子供たちを雑音多き環境に放り込むという表現には異議を持つ。
その処方箋そのものを否定するつもりはないが。
他人は自分にとって致命的にな結果をもたらすほど重要ではない
と言う意味で「他人をノイズだと感じる感受性」そのものをこそ
育てるべきだ…と言いたい。それを否定するためではなく、
広げるために。

まぁ、この部分は単に単語の解釈というか含意の捉え方の差異
でしかない。

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