欺瞞は純真さのなかに宿る

  • 2009/04/27(月) 17:18:26

嘘というものは、もし言葉が本来、そして普通には誠実なものであるとしなければ成り立たないであろう。贋金は正貨にささえられ出回るのだ。つまるところ欺瞞は、純真さのなかに宿る卑しい寄生虫ということになる。・オルテガ・イ・ガセット/大衆の反逆(桑名一博・訳)



犯罪の増加は、モラルの低下のみが原因ではない。
むしろその逆である場合もまたある。ということだ。

昨今のそれと、その問題提起のあり方に対する私の違和感にも通じる。
しかし、それも、違和感ではなくなりつつある。マスコミが煽ったから
だと言える側面もあろうことが惜しい。




cf.
↑前段に
われわれは言葉を、自分の考えを表現するための手段であると定義している。しかし定義というものは、それが本当らしく見えるときでも皮肉なものであり、暗黙の保留をそっと秘めている。したがって、定義をそのようなものとして解釈しないと、忌まわしい結果を生むことになる。たとえば、言葉が我々の考えを隠匿するために、つまり嘘をつくためにも役立つというのがそのほんの一例である。


↑後段として
いや、私が言いたいのはそういうことではない。言葉は考えを表現するという定義の最も危険な点は、それにまつわる楽観的要素である。なぜなら、その定義自体は、われわれが言葉を通して自分の考えのすべてをじゅうぶん適切に表現することができるとは保証していないからである。さすがにそこまでは保証していないが、しかしまた、われわれに厳格な意味での真理を率直に見せることもない、つまりその真理とは、人間は根源的な孤独を宣告されているので、人間にとっては相互理解は不可能であり、人は他人に到達しようとする努力で憔悴しているということである。

ホセ・オルテガ・イ・ガセト
Jose Ortega y Gasset
1883年5月9日 - 1955年10月18日
スペインの哲学者。

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