最終的に、「派閥の論理」は票の配分

  • 2007/09/15(土) 17:40:53

小泉は「自民党をぶっこわす」のスローガンの元、
派閥の論理を時代遅れのものにした…かのように言われる。

しかし、それは違うのではないか…と言いたい。

いや、むしろ派閥の論理を強めたのではあるまいか。





もちろん小泉は派閥を壊した。特定の派閥を。
しばし言われる世に、それは単に報復のごときもので、
田中角栄の系譜に連なる派閥を、殲滅しようとしたに過ぎない。


そして、小泉の行った新たな人事の強権的手法によって、
「主流派に逆らったら必ず、致命的な報復をうける」という
戒めが生まれてしまった。

それは、これまの力学とは、部分的に異なる力学かも知れないが、
主流派に靡かざるを得ない自民党政治家のマインドが不動になり、
誰が次期総裁かの判断材料の無い、ザコ政治家達は、自らの保身の
ために、いち早くそのような情報を察知しうる…直接会談のできる
派閥の長…に、自らの挙動の指揮を求めるようになった。

故に、派閥を無視して自らの理念で動く事によるリスクは
むしろ増したと言えよう。

もちろん、派閥に反して独自に推した候補が総裁選を征すれば良い。
が、外したら二重に党に居辛くなる。
いやむしろ、負けると判っていても、自らの理念により票は投じる
という態度が失われる。それが怖ろしい。

というのも、例えば、本来は6:4に割れて、そのバランスの中で
進めて行かねばならないものを、勝ち馬に乗る精神によって、
9:1のバランスの元、勝者側が絶対正義、対する側は絶対悪
であるかのように政治が舵を切ることになれば、組織として、また
国としての命を削る事になる。人体に例えれば、「野菜食が
ヘルシーだから」という「常識」によって、一切の肉食を断ち、
野菜しか食べないなんてことをしてしまえば、必ず健康を害し、
動物としての活力を失う。子どもは脳を萎縮させる。
政治にあっても似た事が言えよう。

「野菜食がヘルシー」であるのは、行き過ぎた肉食・油食が、
健康を害しているから…であり、「野菜を適度に食べよ」という
メッセージを特に強調して言わねばならぬ事情によって…である。
本当に野菜食だけなど…特殊な腸内細菌の力を借りぬ限り…
健康から離れる一方だろう。


そのように、新しい「派閥の論理」を旧来のそれより
私は怖れる。





…とこのように言ってみても、
お題目として「民主主義」を…多数決主義を…国の仕組みとして
この国は持っているのだから、「独裁政党」だと大衆に思われても、
これまた党としてダメージを負ってしまうわけで、そのような
実体を曝すことは、絶対に無いだろう。

強固な「派閥の理論」が効いている証明として、比較的
接戦を演じることになるだろう。
「選挙の結果がどうなるか判らない」といった心理に占められて
いれば、どんなに冷静に票読みしても「もしも」を考えて、
どちらも全力で票を取りに来る。故に、そのような場合、往々にして
どちらかの圧勝…という事になりがちなものだ。

確実に勝つ、票の不確定要素も少ない…といった情勢ならば、
絶対的な安心感の元、自らの票を敵方に「配分」するだろう。
そのような調整をする場所として派閥が重要になる。各派閥から
均等に「離反者」が出たと演出されるだろう。

個人の意志で派閥を裏切って離反したならば、その厳格な票読みを
狂わした存在は、手厳しい報復を党全体から受ける事になるだろう。
かつての「抵抗勢力」のように。…が、おそらくそうはならない。

党命に忠実に「離反」行動を実行した者は、むしろ領袖からの
信頼を高めることになっているだろう。